新型コロナ感染症が5類になるとどうなるのか?

はじめに

政府は今春、4月中を目処に新型コロナ感染症を現行の2類相当から5類に変更する方針を表明しています。世の中では賛否両論議論がありますが、5類に変更となった場合、実際にはどうなるのか考察したいと思います。

行動制限は解除される分、お互い感染しやすくなる

まず、5類の方が数字は大きいですが、感染症の扱いとしては格下げとなります。つまり、国民にとっての脅威としてはより低いものとして扱うことになるのです。
次に、何類かにより付随して行う対処が違ってきますが、5類の場合、患者さんは行動を制限されることはありません。新型コロナ感染症と診断されても仕事に出勤することは可能です。もちろんご家族の濃厚接触者も行動は制限されません。自治体は患者数など把握することもしません。各医療機関も患者数の報告もしなくなります。

受診できる医療機関は増えるが、お互い感染しやすくなる

重要なこととして、新型コロナ感染症の診断や治療をどこの医療機関でも行えるようになります。これまでは当院の様に指定を受けた医療機関のみ診断など行っていました。指定を受けることができるのは、発熱患者さんとその他の患者さんの導線を分けたり、とにかく院内で感染拡大しないような対策を講じることができる医療機関のみでした。今後はその様な指定もなくなり、どの医療機関でも発熱外来を実施可能となります。発熱患者さんにとっては診てもらえる医療機関が増えることになりますから、これまでより受診しやすくなります。しかしながら注意が必要となるのは、これまで院内の感染拡大防止策を講じることができずに指定を受けていなかった医療機関の場合、発熱患者さんとそうでない患者さんとが混ざってしまう可能性があるということです。さらに言えば、これまで対策を講じて指定を受けていた医療機関でも、感染対策の基準を緩和して対応しても構わないということになります。待合室に発熱患者さんが入って頂いても構いませんし、玄関で検温する必要すらなくなります。院内の診察室で発熱患者さんの診察をした後に、発熱ではないその他の患者さんが同じ診察室に入り診察を受けることも普通の光景となります。入院病棟でも特別な感染対策は廃止され、例えば新型コロナ陽性の患者さんの隣に癌の手術後の患者さんが寝ていることも普通となります。高齢者入所施設などでも面会制限もなくなりますし、利用者さんが新型コロナ感染症となっても隔離措置など講じる必要もなく、デイサービスなどでも本人の体調さえ良ければ新型コロナ感染症になっていても利用を拒まれることもありません。これまでクラスターと表現していたことが今後は当たり前のものとなり、医療機関でも施設でも新型コロナ感染症が常にそこにあるものとして生活することになります。つまり院内や施設内の感染対応としてはコロナ禍前に戻ることになります。5類に変更後は感染対策に必要な補助金なども廃止となるため、各施設はこれまでの様な厳重で水準の高い感染対策を講じることは困難となります。5類に引き下げるということは、感染対策としてはそれでもなんら問題ないということになるのです。ですから、発熱診療を行う医療機関の数としては増えますが、お互いに感染しやすいという注意点はあるということですね。

受診料はさほど変化がないと予想

費用に関することですが、現在は診察の際に検査にかかる費用は公費負担となっており、おそらく多くの方は3割負担で窓口支払いが約3,000円程度となっていると思います。また、無料検査もありますし、ワクチンも無料で接種できています。5類になるとそれらを公費負担する根拠がなくなるため、ワクチンは有料となり、無料検査は廃止されます。診察時の検査も自己負担割合に応じた費用負担が必要となります。抗原検査で1,500円程度、PCR検査で2,500円程度これまでより上乗せになる予測です。しかしながら、実際の窓口負担については大きく変わりがないと予想しています。なぜなら、これまでは発熱診療時に指定医療機関に対して特例措置として設けられていた診療報酬の算定が無くなると予想されるからです。そのため検査費用がプラスとなっても、特例措置の加算分がマイナスとなるため、窓口負担金は大きく変わりがないのではないかということです。(PCR検査を受ける場合は少しだけ高くなると思われます。)今後は当院の様な指定医療機関が発熱診療で得ていた診療報酬は大きく減じることになります。5類になるということは、恐れるほどの感染症ではなく、特に医療機関として対策を講じる必要もなければ、そこにあてがう費用も必要ないということになります。そのため、診療報酬が大きく減じることになると発熱診療を辞退する医療機関も出現すると予想されます。また、医療機関だけではなくGO TOに代表される飲食業や宿泊施設への支援策も打ち切りになるでしょうし、新型コロナ関連の雇用調整助成金なども廃止となるでしょう。

感染者数・死者数は増えると予想

今後の感染者数や死者数についてですが、新型コロナウイルスの病原性に変化がないと仮定した場合、どちらも増加すると予想されます。2類や5類はこちらが決めていることであり、ウイルスにとっては関係ありません。引き下げたからといって感染力や致死率が下がるわけではないのです。現に第8波では弱毒化して病原性や致死率も下がりましたが、そうであるにも関わらず死者数は過去最多となっています。若く元気な世代にとっては軽症で済んだとしても、高齢者や基礎疾患のある身体的弱者にとっては脅威であること、行動制限が緩和され軽症感染者が増えたことで高齢者や身体的弱者の感染も増えたことが要因と考えられます。弱毒化しているのに死者数が過去最多となっていることを考えれば、5類に変更して扱いが低くなれば自ずと軽症感染者はさらに増えるでしょう。ワクチンが有料となり、診察代も高くなるとすれば、ワクチン接種も控え、診察や検査を受けない方が増えるのは当然です。ワクチン接種が重症化を予防できていたと仮定し、検査により陽性者を確認し行動制限をお願いしていたことが感染拡大予防に役立っていたと仮定すると、これらの要素が弱くなるということは軽症の隠れ陽性者が増え、重症化する方が増えるということになります。弱毒化しているにもかかわらず過去最多の死者が生じていることを我々は念頭におくべきと言えます。

最後に

最後になりますが、過去最多の死者数を出しながら扱いを下げるということは、世の中は高齢者や身体的弱者の方が犠牲となることを受容したのと同意と捉えることができます。つまり、高齢者や基礎疾患のある方はある程度犠牲になっても仕方がないと世間は考え方をシフトしたということです。(人命か経済かの二択論は当初からありました。)それが良いことかどうかは個々人が評価したら良いと思います。
いずれにしましても、当院はこれまで同様に発熱診療を続けますが、世の中で発熱診療を辞退する医療機関が生じたり、発熱診療に不慣れな医療機関で新型コロナに感染してしまったり、入院病棟で院内クラスター、高齢者施設などで施設内クラスターが増えたとしても、そして高齢者や基礎疾患のある方の死者数が増えたとしても、それらの関係者が悪く言われない様に願っています。世の中が新型コロナウイルスに対する扱いを下げて行動制限もしなくなったにも関わらず、医療機関や高齢者施設だけが何の費用の補助もなく高い水準で感染対策を続けることは困難ですし、クラスターの責任を負うようなことはできません。5類に変更して世の中の雰囲気をコロナ禍前に戻しても、コロナ禍前と違うのは、新型コロナウイルスは根絶されてはいないということです。海外からも来訪者が増えるでしょうし、都度違う株が流入する可能性もあります。弱毒化ではなく強度化する可能性もあります。自分や家族の大切な命は自分で守らないといけません。これからは新型コロナウイルスは常に身近にあるとして個々人がどれだけ自分のために感染対策するかが肝要です。

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