・PCR検査はウイルスの持つ遺伝情報であるRNAの存在を検出する方法です。わずかな量のRNAを検出可能にするために増幅させる必要があります。そのため、工程には様々な薬品や専用の器機が必要となります。熟練の検査技師さんの存在も不可欠です。工程には時間がかかり費用も高額となります。外注の場合、検体の移送から結果の報告まで数日単位で時間を要します。
・抗原検査はウイルスと結合する抗体を用いてウイルスの存在を検出する方法です。ウイルスに抗体を使って目印をつけるイメージになります。PCR検査と同様に、検査の時点でウイルスが存在しているかどうかを示すものです。PCR検査と違い、ウイルスの量を増幅させることはできません。そのため、検体をしっかり採取することが肝要です。
・抗体検査は血液中にウイルスに対する抗体があるかどうかを調べる方法です。検出された抗体はどの時点で産生されたものかはわかりません。抗体は人の免疫細胞が作るものであり、既に感染している、もしくは感染していたということを示しますが、検査の時点でウイルスがいるのかいないのかはわかりません。また、たとえ抗体を認めても、コロナウイルスに二度とかからない、あるいは重症化しないという保証はありません。公衆衛生学的に意味はあると思いますが、日常診療としては抗体検査を行う意義は現時点では少ないと考えます。