Googleマップ上での悪質なクチコミ投稿に200万円の賠償命令

大阪地裁は5月31日の判決で「医師が勝手な医療行為をするという印象を閲覧者に与え、社会的評価を低下させた」として、投稿した女性に200万円の支払いと投稿の削除を命じたそうです。
これは非常に良いニュースですね。もう匿名で何でも言いたい放題の時代ではないと思います。医業も含めサービス業では技術面での質の良さも必要ですし、接遇や便利さ、公平さなども評価対象項目になると思います。診断が的確だった、治療が効いたなどの技術的なこともあれば、ネット予約が便利だった、受付スタッフの対応が丁寧だったなどの利便性や接遇面への評価もあると思います。
一方で、美容などの自費診療と違い、保険診療では患者さんは全額自己負担するわけではなく、保険から7割から9割、あるいは全額が公費負担されるわけであり、その代わりとして保険診療なりの制約を受けるのです。好き勝手な検査は受けられませんし、薬も好き勝手に指定するわけにはいきません。訪れたクリニックで対応していないことは別のクリニックにかかり直さないといけませんし、一度の診察でわからない、治らない部分については何度か受診して穴を埋めていくしかありません。そして自分が診察を受けたいクリニックがあるのであれば、そのクリニックの定めた院内の規定に従うのが当然です。保険診療では、患者さんが思い描いた様な結果に至らなくても診察料の自己負担分を支払う義務がありますが、逆にバッチリ治ったからといって成功報酬として余分に支払うこともありません。同じ保険収入であるなら患者さんが治っても治らなくてもどっちでも良いと考える医師もいるかもしれませんが、ほとんどの医師は少しでも正しく診断し、少しでも患者さんの役に立つ様にと治療しています。そして自由診療ではなく保険診療なのですから、医師がそう判断してそう治療したのであれば、いったんはそれを受け止める必要があります。欲しい薬を貰えなかった、などの理由で不満を述べるのは筋違いだと思います。不満に思うことは自由ですが、それを悪行としてクレームをつけるのは不条理です。もちろん、その後の経過で医療過誤が判明したのであれば、それは堂々とクレームをつけたら良いと思います。ただし、病態が難しく診断に至らなかったというのは仕方のないことであって医療過誤とは分けて考えるべきです。
美容医療などで全額自己負担と出来上がりの結果保証がある様な世界観ならともかく、保険診療を行っている医療機関に対し、医療過誤があったわけでもないにも関わらず結果が気に入らないという類のクレームを行うのは、真面目に医療を行っている医療従事者にとって本当にストレスです。お釣りを間違えた、順番待ちが入れ替わって不必要に待たされたなど、間違いや不公平についてはお詫びするべきです。しかし、患者さんの思った通りの診断や治療、処方にならなかったからといって、医療過誤でもないのに医療機関を責めるのはおかしな話です。とりわけ、当院ではそういう患者さん、人物とは関わりたくないと考えています。社会の中で、ある時は患者さんでも、ある時は会社員だったり、個人事業主であったり、サービスを提供することだってあるわけです。それはお互い様で、私もどこかのお店に行けば一人の客です。理不尽で自分勝手な理論を書き連ねてクレームをつける方は、自分が会社員や個人事業主、サービス提供者として評価される側になった時、一点の曇りもミスもなく振る舞っているのでしょうか?また、自分が同じ様なクレームを付けられたとして平気なのでしょうか?匿名ではなく実名で持論を展開できるでしょうか?閲覧者に対して匿名を良いことに好き勝手書いてますが、実名で書いて勤務先など調べられて平気でいられるでしょうか?当院の様な小さな医療機関の場合、本当に来た患者さんであれば、書かれた側は誰が書いたかわかることも多いですが、相手がどこに勤めていて何をされているかわかることも多いです。めちゃくちゃなこと言ってくる様な方に、逆に客として世話になろうなどとは全く思わないですよね。世の中に溢れている、閲覧者が読んで難癖だとわかる様なクチコミは事業者をおとしめようとしているのでしょうが、自分の価値を下げていることがほとんどです。世間に実名が知れたらさぞ恥ずかしいことでしょう。Googleマップのクチコミの点数を下げられたくなかったら言うことを聞けと言わんばかりの風潮は本当に良くないと思います。ですから、今回の判例は画期的だと思います。
もちろん、経験や感想を事実ベースで綴るのは問題ないと思います。病院で嫌な経験をしたことを事実に基づいて書くのは他の方にとっても参考になるでしょう。どのみち読み手もわかります。事実に基づいたリアリティのある感想なのか、悪口を言いたいがために難癖をつけているだけなのか。
逆に、何らかの方法で良いクチコミを集めているケースもありますよね。文章にリアリティが無いのでわかります。本当の患者さんはそんなこと言わないでしょうということを書いています。本当に受診して本当に治療を受けたわけではないので、その感想にリアリティが出せないのです。
Googleマップは、なまじ点数など付けるから、悪い点数のクチコミを削除しますよという悪徳業者も現れ、逆に良い点数のクチコミを売りますよという業者も現れるのです。そしてそれに頼ってしまう事業主も現れてしまいます。本当にくだらないことだと思います。とにかく、AIも発達してきているのですから、不適切な投稿は検知して削除するなど、Googleマップのクチコミの今後の適正化に期待です。

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